中越 みずき

社会学研究科 博士課程後期課程
関西学院大学社会学研究科 博士課程前期課程修了

なぜ関西学院大学 社会学研究科に進学されましたか?

私は他大学の文学部出身で、博士課程前期課程から関学社会学研究科で学んでいます。学部では、ハトやラットを用いた実験を通して基礎心理学・実験心理学を学びつつ、社会心理学系のゼミに所属し、卒論では生活保護受給者に対する否定的態度の規定因を検討しました。卒論を書き上げる中で、日本における格差問題と人々の意識との関係について強い関心を抱き、大学院に進学して深掘りしてみたいと考えるようになりました。

学部生の頃は、大学院ではメディアの影響に関する研究がしたいと考えていました。そんなある日、当時の指導教員から「あなたの興味関心なら稲増先生のところがいいかもしれない」と稲増先生の研究室を勧められました。同時期にたまたま稲増ゼミのOGと知り合う機会があり、関学構内で稲増ゼミの雰囲気についてお話を伺った際に「せっかくだし先生の研究室に行ってみようか」と稲増先生を直接紹介していただきました。アポもとらずに研究室訪問するかたちになってしまいましたが、先生とお話する中で、「この研究室ならやっていけそう」という感覚があり、関西学院大学の社会学研究科進学することを決めました。

上記の通り、社会学研究科への進学を決めた一番の理由は現在の指導教員が在籍していたためですが、教学補佐制度の存在など、大学院生に対する支援が充実していたことも大きいです。また、これは入学してから感じたことですが、教学補佐業務への従事を通して、教員がいかに大学運営に関わっているかを垣間見る機会があるのは、とくに研究職志望の院生にとってはありがたいことだと思います。

どういった研究に取り組まれているか教えてください。

日本の有権者の政党支持態度や投票行動の基盤となっている心理メカニズムを検討しています。特に関心があるのは、経済的格差や貧困に関する問題を日本の有権者がどのように認識しているのか、またそうした認識がいかに政党支持や投票行動に結びついているのかという点です。大学院進学当初は、政治に関する意識や行動を扱うつもりはなかったのですが、指導を受けるなかで、今の研究テーマに落ち着きました。

研究では、問いに対して自分なりに仮説を立てるわけですが、調査や実験をしても、立てた仮説がいつも支持される訳ではありません。むしろ、仮説が支持されなかったり、「どうしてこんな結果になったんだろう」と頭を悩ませることも多いです。しかし、よくよく探ってみると、思いもしなかったところに問いに対する答えのカギがあることに気づくことがあります。そうした予想外の繰り返しが、研究の苦しさであるとともに、面白さでもあると感じます。

大学院生の生活がどのようなものか教えてください。

修士2年に進級する少し前から新型コロナが流行し始めたため、それ以降はあまり大学に行かず、対面講義がある日以外は基本的に自宅で作業しています。修士1年の頃は、平日はほぼ毎日大学に来ていました。関学社会学研究科の博士課程前期課程では、カリキュラムとして組み込まれている講義が多いので、とても忙しかったのを憶えています。カリキュラム内の講義では、社会学や民俗学の先生方の最新の研究の話を伺ったり、そうした他分野の先生から自分の研究に対してフィードバックを頂くなど、貴重な経験をさせていただきました。

指導教員とは、基本的には週に1回行われるゼミで研究についての相談をしています。また、副指導の先生にも定期的に相談に乗ってもらい、異なる観点からコメントをもらっています。

大学で研究をするときは、社会学部の棟内にある院生室を利用します。私は院生室では他の院生と積極的に雑談をするタイプではないのですが、誘われてご飯を食べに行ったり飲み会に参加することもあります。同じ研究科で研究に取り組む院生同士で交流することでお互いの励みになりますし、そうした場でのコミュニケーションを通して研究のアイデアが生まれたりもするので、こういった交流の機会も大事にしています。

修了後の進路について、現在の希望を教えてください。

将来は研究職に就きたいと考えています。関学社会学研究科の魅力は、自分の専門に近い方々だけではなく、近隣領域の先生や院生と交流できることにあると思います。実際に社会学分野の先生の調査に参加して、質的インタビューの基礎を学ばせていただいたりもしています。こうした学びをもとに、将来は学際的な研究ができるようになりたいと思っています。

【研究実績】

中越みずき・稲増一憲 (2019). メディアフレームと情報の立場性が生活保護の責任帰属に及ぼす影響:「責任がある」のは政府か受給者か 社会心理学研究 , 35 (2), 72-84.


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