周 丹

社会学研究科 博士課程後期課程

なぜ関西学院大学 社会学研究科に進学されましたか?

高校時代の私は、教科書に書いてある知識を勉強するだけでしたが、大学に進学してからは、文学や学術の本を読むようになりました。こういった本を読む中で、「何故だろう」と疑問に思うことがよくあります。そういった疑問を研究することで突き詰めたいと思い、大学院に進学しました。

修士課程までは中国の大学・大学院に通っていましたが、修士課程2年生の時、上海で開催された学術会議で現在の指導教員である島村先生に出会いました。それをきっかけに島村先生の教え方と民俗学の理論を知り、心を惹かれました。また、博士号を取得するためには努力が必要なので、自分に合った指導教員を選ぶことが重要であるとも考えていました。島村先生はとても優れた学者であり、学生をどのように指導すべきかを良く知っています。図や例などを使って行う授業も私に合っていると思い、島村先生の指導を受けるために、関西学院大学に進学しました。

どういった研究に取り組まれているか教えてください。 

研究テーマはマレビト理論です。折口信夫はマレビトという概念を提示しましたが、厳密な論証が足りていないと考えています。中国西南部の少数民族地域には、山人、海人を先祖とする人々が多く生きているとされています。そこで、100年前に折口信夫が提示した理論的概念について、具体的な事例を用いて考察を深めていきたいと思っています。

また、中国にはマレビトの民俗事象が多く存在しますが、統一的な学術概念で分析した研究者はまだいません。したがって、日本のマレビト論を中国の学界に紹介したいと思っています。

大学院生の生活がどのようなものか教えてください。

授業は、指導教員・副指導教員のゼミと英語の文献研究の授業を受けています。授業以外の時間には、院生室や家で研究に取り組んでいます。また、ゼミでフィールドワークに行くこともあります。新型コロナの感染拡大が続いており、大学と家を往復するだけの生活になることが多いですが、一人前の研究者になるために頑張っています。

指導教員の島村先生は学生の勉強にもすごく関心があり、私が先生に質問をすると、いつも質問した以上の回答をくださいます。先生の見解や他の研究者の思考、読むべき本、論文の写真などを返してくださるので、その度にたくさんのことを学ぶことが出来ました。島村先生には本当に感謝しています。 また、周囲の院生も親切です。入学して最初の頃は日本語が不自由で、会話をする中で何度も聞き返すこともありましたが、その度に優しく説明してくれるので、日本での研究生活に対する不安も解消され、とても助かりました。

修了後の進路について、現在の希望を教えてください。

将来は一人前の学者になりたいと思っています。就職が心配になることもありますが、論文や本の執筆、学会や会議への参加を通して自分の能力を伸ばせると思うので、努力して研究に取り組むことは、非常に意味があることだと思っています。

【研究実績】

学会発表

2022「What Should We Focus on When We Gaze at the Center of the Vortex?: Reflections Based on the Oral History of COVID-19 Frontline Medical Personnel in Wuhan」The 13th Annual CUHK Anthropology Postgraduate Forum,香港

2022「Effective Categorization :”Fear” of “Medical Personnel” at the Centre of the Covid-19 Vortex」イギリス民族学会, ロンドン

著書(共著)

2021「子供たちへの民俗学:石敢當」黒龍江少年児童出版社, 共著, 黄景春・周丹, 原文中国語

翻訳

島村恭則「伝承の命運―『来訪神』の文化遺産化をめぐって―」『遺産』2020年度第1号

島村恭則「ヘルマン・バウジンガーと日本民俗学」『遺産』2022年度第6号


TOP
TOP