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文化学専攻

文化学専攻

個別と普遍を往復し、
文化や芸術の意味を探る

社会構造の中で人が行う言語的・非言語的な実践としての文化、およびその産物としての芸術に対して、主に質的データの分析を通してアプローチします。ことば、物語、信仰、慣習、芸能、音楽、食、文化遺産、ファッション、ツーリズム、ミュージアム、パフォーマンスなどを扱います。

PICK UP 授業

文化学専攻の特徴的な授業を紹介します

文化人類学中谷文美 教授
自分たちのあたりまえを問い直す

文化人類学はその名の通り、「人間」の「文化」について考える学問です。ここでいう「文化」とは、地球上のさまざまな人びとが日々考え、おこなっているありとあらゆることがらを指します。
持ち運ぶこともできないくらい巨大な石のお金にはどんな価値があるのか? 贈り物を受け取ったら、お返しをしないといけない気分になるのはなぜ? 映像資料にもふれながら、世界各地の事例を通じて、日頃考えたことのない問いに取り組むことが、自分たちの日常を新しい視点で切り取る機会につながります。半期の授業が終わる頃には、いつもの景色がちょっとちがってみえる…はず!

現代民俗学島村恭則 教授
日本とその周辺をフィールドに、
日常生活文化の謎を解く

民俗学は、人びとの日常生活文化(=民俗)について、その来歴や意味を解明する学問です。年中行事や祭り、昔話や伝説、民間信仰や冠婚葬祭、食文化、都市伝説やネット怪談といった伝承文化を、日本とその周辺地域でのフィールドワークや歴史文献の調査を通して考察するところに特徴があります。講義では、ベストセラーになった『現代民俗学入門』(島村恭則編)をテキストに、現代に生きる私たちにとって身近な民俗をとりあげ、現在と過去、日本と海外を縦横に往復しながら、その謎を解明していきます。

ゼミ紹介

文化について、
楽しみつつも冷静に考える鈴木慎一郎 教授

文化や芸術は〈楽しみをみんなで無条件に分かち合う〉瞬間を含んでいます。一方で制度化や商業化に向かう動きが含まれることもあります。両者のせめぎ合いに感覚を研ぎ澄ましていくのがこのゼミのねらいです。
このゼミで大切にする先人の考え方には少なくとも2つあります。1つは「文化とはありふれたもの」(レイモンド・ウィリアムズ)という考え方です。文化とは権威づけられたどこか「格上」のものという先入観があったなら、それを外してみましょう。日常生活にニュアンスを加える営み、といった程度に文化を捉えれば、至る所にそれを感じ取れるでしょう。ありふれているから研究に値しない、のではなくその逆です。もう1つは「限界芸術論」(鶴見俊輔)です。限界芸術とはアマチュアがつくり受け手もアマチュアであるような芸術のことです。これは、純粋芸術(=専門家が作り専門家が鑑賞する)や大衆芸術(=専門家と企業が合作し大衆が消費する)とは、区別できると同時に連続してもいます。限界芸術に興味を寄せることは、芸術や文化の専門化・制度化・商業化に敏感になることでもあるのです。

授業の1つの柱は、オーソドックスではありますが文献講読です。また、限界芸術のようなものを共同で制作し論評する、ということもしばしば行います。さらに、ミュージアムやその他のさまざまな場所へフィールドトリップを行うこともあります。このゼミの卒論では、各人の趣味など、その学生本人にとって思い入れのある題材が扱われる傾向があります。それらの卒論について近年特筆すべきは、〈持続可能なファン文化〉のあり方を探ろうという志向がみられることです。そこには、文化産業における人権侵害やファンによる誹謗中傷などの害悪が問題視されつつある中、これからのファンはどのようにふるまうべきか、という切実な問題意識がうかがえます。この志向には大きな可能性を感じさせられます。

先輩たちの声

関西学院千里国際高等部出身
藤原 里音さん 4年
大学生活をかけて
自分の興味関心をとことん探求

私は、長い海外生活により自分の基盤となった「当たり前を疑う姿勢」や、幼い頃から芸能やエンタメに関わることにより感じた、「表」に立って見える世界と「裏」で支えてくださる存在の「裏表相互」の重要性について学びを深めたいと考え、鈴木慎一郎先生のゼミへの所属を決めました。ゼミでは、ブラックミュージックを中心とした音楽が「当たり前を疑う姿勢」や「裏表相互」の重要性を今も昔も伝えているという研究を行なっています。
現在所属している音楽研究部やJAZZ研究部といった課外活動で触れる知識や経験もさらに深い研究へと繋がっていると感じており、社会学部の学びにおいては、自分の関心を掘り下げる行動力も試されるのだと思います。

卒論テーマ

  • オタクの創作活動:グッズ作りの文化を紐解く
  • 古着消費の実態:サステナブルファッションとの関連性を見る
  • 異世界転生小説の流行に関する考察:テンプレートの需要と供給のされ方
  • 映画業界における公共性とやりがい搾取:ミニシアターを事例として
  • 「観察者」をよそおうファン:ゲーム実況者のファン文化の分析から
  • 安楽死に対する日本の若者の態度
  • なぜ私たちは動物が殺されることを嫌うのか?
  • 「余暇」から立ち上がる「味」の深み:インド・ネパール料理店での経験から
  • カワコ伝承と「福河童大明神」:隠岐の島町西郷の事例
  • 「無形文化財」の創出と伝承:筑前博多独楽の事例から