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社会に作られる個人、
個人が作り出す社会 -
人の思考、感情、行動が社会環境によってどのように形成されるのか、またそれらの思考、感情、行動が社会環境をどのように形成していくのかを研究します。研究方法としては、実験や調査などを通してデータを収集し、そこから客観的に人の心を読み解く方法を身に付けます。
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PICK UP 授業
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社会心理学専攻の特徴的な授業を紹介します
グループ・ダイナミックス森久美子 教授「集団」を複眼的に眺める私たちはさまざまな集団に属して生活しています。周囲の意見に流されたり、空気を読んで言いたいことを飲み込んだりする時、集団はひとりの個人では到底かなわない力を持っているように見えます。でも、誰かの発言で流れが大きく変わったり、新しい価値観が古い常識を覆したりすることがあるように、集団の力や「雰囲気」を作り出し変えていくのもまた、ひとりひとりの個人なのです。この授業では、集団と個人が「互いに影響を与え合う」現象について取り上げます。個人の視点と集団の視点を切り替えることで、私たちの生きる集団について多様な見方をしてみませんか。
文化心理学岩谷舟真 専任講師心の文化差とその起源を読み解く私たちの心には文化差があります。成功したときに「頑張ったから」と言う人が多い国もあれば、「運が良かっただけ」と謙遜する人が多い国もあるでしょう。では、なぜ心の文化差が見られるのでしょうか。この授業では「◯◯人だから△△な心を持つ」という同語反復に近い説明からさらに進んで、社会環境の違い(新しく友人を作る機会が多い社会か少ない社会か、稲作が盛んな社会か麦作が盛んな社会かなど)が心の文化差を生み出す可能性について説明します。この授業を受講することで、「◯◯人は△△だ」というステレオタイプ的な理解よりさらに深い他者理解が可能になると期待できます。
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ゼミ紹介
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身近な関係を
科学的に研究する清水裕士 教授私の研究テーマは社会心理学で、とくに対人関係や態度などミクロな社会行動がテーマです。具体的には、どうすれば友達とうまくコミュニケーションがとれるだろう?みんながグループで助け合うにはどうすればいい?人の好みや印象を知るにはどうすればいいのか?などを研究テーマにしています。そのため、清水ゼミでは身近な対人関係やコミュニケーション、人への印象をよくするための方法などについて研究している学生さんが多いです。また、消費者行動について研究する人が毎年数人います。
3年生では、社会心理学の論文の読み方などを学びながら、グループでテーマを決めてみんなで一緒に研究を進めていきます。リサーチクエスチョンの立て方、仮説の導き方、そしてデータ分析なども勉強しながら、社会心理学の研究方法を身につけていきます。たとえば、自分の意見がグループの中でどのようにうまく伝えられるのかのトレーニングをしてみたり、アカデミックな場面での質問の仕方なども議論したりします。そして、心理学では国際的な研究が多いので英語論文も読みますし、実験計画法や統計など科学的な研究に必要な知識も獲得していきます。最終的にはグループの研究成果はそれぞれひとりひとりがレポートとしてまとめます。そのなかでアカデミック・ライティングも身につけてもらいます。
4年生では、3年生で学んだことを活かして一人で卒業論文執筆を行います。テーマは比較的自由に選んでもらっていて、日常で不思議に思っていたこと、就活中に気づいたことなどをとりあげている学生が多いです。社会心理学は科学的な方法を使うこともあり、大学生活で学んだことが一つ一つ積み上がって、研究に活用されていくことが特徴です。ゼミでの課題などは大変なこともあると思いますが、ゼミ生はみんな卒業するころには「ゼミではちゃんと大学生っぽいことができた!」と自信を持ってくれています。
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先輩たちの声
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淳心学院高等学校出身
吉田 航さん 4年社会学と社会心理学の
両方を学ぶ意義元々高校時代に読んだ『群集心理』という本をきっかけに、人と人が関わる時に生まれる心理変遷に興味を持っていたことから、「親密な対人関係」をテーマの1つとする清水ゼミへの所属を決めました。関西学院大学社会学部の社会心理学専攻では、社会学由来の多面的な視点、心理学由来の「こころ」に関する知識、その両方を学ぶことができます。
「社会学を学ぶことでみんなに優しくなれる」という清水先生の言葉は、社会心理学ではさらに意味を持ちます。「こころ」を学び、様々な事柄の裏側をも推考することを癖づけられるからこそ、思考にゆとりが生まれます。そのゆとりは、“みんな”つまり“社会”のことを考える機会を増やすほか、自分自身の行動や「こころ」を見直す余地にもなるのだと思います。