現代社会学

現代社会学専攻分野

立石裕二ゼミ

規模の大きな社会学部だから
自分のやりたいことを追求できる

皆さんは社会学部と聞いて
“社会学部って何を学ぶの? ”
“そもそも商学部や経済学部とは違って何ができるの?”
“どんな人が通っている学部なの?”
“関関同立の中で関学を選ぶ利点って何?”
と考えたことはありませんか?
そんな皆さんの疑問を解決するために、2021年度まで社会学部の副学部長を務められていた、立石裕二教授にインタビューを行い、社会学部の特徴や他大学の社会学部との違いをお聞きしてきました。
記事作成:安井(社会学部3年)、片山、日野(社会学部2年)

立石 裕二教授

専門:科学・技術の社会学、環境社会学
千葉県出身
大学で環境問題を扱うサークルに入ったことがきっかけで、環境問題に関心を持ち、学生時代は割り箸と森林破壊について調べていた。

 

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ずばり!社会学部のいいところはなんですか?

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社会学部のいいところは、自分で研究したいテーマをもっている人が、それをとことん追究できることだと思います。社会学という学問は、ふだん生活する中で感じるような疑問に対して学問的にアプローチできることが大きな特徴です。たとえば、私の担当科目である「科学・技術の社会学」では、「電化製品が進歩すると主婦の仕事は本当に減るの?」「ロボットが普及すると人間の仕事はなくなる?」「なぜ飛行機の事故はなくならないか?」といった問いを立てて講義をしています。科学・技術に限らず、どんな事柄でも「○○の社会学」が可能です。

就職活動をする中で、大学で何を研究しているかを聞かれることがしばしばあります。そういうとき、研究テーマにその人の生き方や考え方が出やすいのは、社会学という学問の面白いところだと思います。そういう質問に対して「待ってました!」とばかりに話せるような、自分自身の問いを見つけてほしいと思っています。

そうは言っても、高校生で社会学に触れる機会は少なく、入学前に自分が追究したい問いを見つけるのは難しいでしょう。関学の社会学部であれば、社会学や社会心理学、文化人類学、民俗学などの多くの分野の先生がいます。学科に分かれていないので、大学に入って幅広い授業を受けながら、自分の問いを見つけて、その問いにあったゼミや専攻分野を選ぶことができます。

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確かに、私自身も2年生になってから社会学部に入学以前に入りたかったゼミとは異なるゼミに興味を持ち、現在はそのゼミに所属しています。入学後に選択肢があるというのはいいところだと思いますね。

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社会学部の特徴はなんですか?

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4年間ずっと少人数の演習科目があることが、関学社会学部の教育の大きな特徴だと思います。1年の「基礎演習」から始まり、2年春の「インターミディエイト演習」を経て、2年秋からは専攻分野に分かれた「研究演習」(ゼミ)に所属します。卒業論文を書き上げる上では、アンケートやインタビュー、フィールドワーク、心理学実験など、専門的なメソッドを身につけることが欠かせません。少人数授業の中で、ほかのゼミ生と議論し、試行錯誤しながら、学術的な方法を身につけていくことができます。

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そうですね。確かに2年時の「インターミディエイト演習」についても様々な社会学の分野に分かれたクラスを自分の興味に合わせて希望し、受講することができ、様々なディスカッションや発表を通して少人数の演習科目だからこそできる学習を体験できました。

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社会学部に通う学生についても聞かせてください。学生から見ると、社会学部ってキラキラした人が多いような気がするのですが、それについてどう思われますか?

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「キラキラしている」の意味によりますね。社会学は、「自分って何だろう」「まわりの人とどう違うんだろう」と、自分を見つめ直すきっかけになる学問です。また、勉強を頑張る、仕事を頑張るだけでなく、生活全体をどう充実させていくかを考える学問でもあります。そうして自分を見つめ直し、勉強・生活の両面で充実していることが「キラキラ」であれば、すばらしいことだと思います。

他方、「キラキラ」が単に見目麗しいことだとすると、それは社会学部が目指すところとは異なると思います。社会学では、一人ひとりにとっての「自分」が違うこと、社会の中で生きる人の多様性を重視します。世間でチヤホヤされるような生き方に対して違和感がある人でも、居場所があると感じられて、違和感の正体に向き合えるのが社会学部だと思っています。「キラキラ」のようなイメージが先行することのマイナス面にも目を向ける必要があると思います。

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確かに、キラキラしている学部という印象が先行しすぎているように感じますね。実際に学部に所属してみるとそういうわけではないですし、多様性を大切にしていて、多様性について研究する学部でもあるので、そのようなイメージがついていることには少し疑問があります。

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他大学と比べて、関学の社会学部生にはどういう特徴があると感じますか?

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こういう学生に来てほしいという話になりますが、社会学は「自分とは違う他者を理解するための学問」なので、他の人の話を聞くのが面白い、自分とは異なる背景や特徴をもった人と出会うのが楽しいという人は、社会学部での学びが充実したものになりやすいと思います。

私のゼミでも、社会調査実習という授業の一環として毎年、大手企業やベンチャー企業、自治体、NGO、町おこし団体などへのインタビューを学生主体でおこなっています。ゼミの卒業生から、社会学部の別のゼミの学生がフィールドワークで来ましたよ、という連絡をもらったこともあります。授業の中で学外の人と接する機会が比較的多く、そうした「つながり」に魅力を感じる学生が多いのは、社会学部の特徴のひとつだと思います。

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今、勉強についての話題が出たのでこのタイミングで先生の専門分野についても高校生でも分かるように教えていただきたいです。

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「科学・技術の社会学」を専門にしています。最初の授業で話すのは、「科学が発達することで、家事の時間は本当に減ったのか?」という話題ですね。普通に考えると、洗濯機や掃除機の登場・発達によって家事時間は減ったように思えますが、実際にはそれほど減りませんでした。その後、家事時間は減っていきますが、それは家電の発達というよりも、女性の社会進出によって家事に使える時間が減った側面が大きいんです。

電化製品が発達すればするほど要求される精度が上がってしまって、以前だったら洗濯は週一でよかったけど、基本的に毎日となってしまうと、同じ量あたりの洗濯時間が短くなっても楽になりません。

新しい技術を用いた製品を売ろうとする人は、便利になりますよと宣伝しますが、皆がその製品を使うようになると、それを受け止める社会の価値基準そのものが変わっていく。社会学の用語では「行為の意図せざる結果」といいますが、事前の想定どおりに進まない部分が見えてくるのが、社会学の面白さだと思います。

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確かに、みんながLINEを使い始めるとそれが基準になって、LINEをやってない人が友達を作りにくいなんてこともありそうです。便利な製品によって社会の水準が上がると我々が逆に大変になるって、矛盾していて難しいですね。このような答えの見えない研究が「the・ 社会学」のように感じます。

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最後に高校生に伝えたい、他の関関同立の大学に比べて関学のいい点は何かありますか?

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留学に行きたいと思って入学してくる学生が多く、社会学部でも大学全体でも、留学に行きやすい環境が整っているのは、関学の大きな特徴だと思います。どの学部からでも留学には行けますが、留学を経験して考えたこと、外から日本を見て考えたことを、帰国した後、ゼミの研究や卒業論文の中で、さらに深めていけるのが社会学部の強みだと思います。

私のゼミ生でも、国際ボランティアに1年間行き、帰国後も夏休みに再び訪れて、その経験をもとに卒業論文を書いた学生がいました。その学生の場合、出発前からこのテーマで卒論を書こうと決めていて、NGOのスタッフや支援を受ける子どもたちにどういう話を聞くか、フィールドワークでは何を中心に観察・記録するか、事前に準備してから出発しました。その結果、とても充実した卒業論文を書くことができました。出発する前から社会学の技法を学んでおくことで、海外での経験をより充実したものにできますし、帰国した後も、自分の経験を社会学の学びと結びつけることで、より掘り下げて考察し、発信できるようになります。

インタビューを終えて

入学してから3年も経つと、ついつい自分の中で当たり前になってしまっていた関学というものが改めて素晴らしい学校であることを認識できました。(安井)
取材を通して私自身も関学の魅力を再確認でき、関西学院大学の社会学を選んでよかったと思いました。取材や執筆活動の経験は、自分の糧になりました。(片山)
取材をさせていただいて、これまでに気づかなかった社会学部の魅力に気づくことができました。(日野)


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