データ社会学

データ社会学専攻分野

石田淳ゼミ

思ってもなかったことに出会って
勉強するのが大学のいいところ

みなさんは ”数理社会学” と聞くと、どんなイメージを抱きますか?「難しそう…」と思った方も多いのではないでしょうか?
私たちは、データ社会学専攻分野でゼミを開講している、数理社会学者・石田淳教授にインタビューを行いました。石田先生は、横浜市立大学国際文化学部を経て、関西学院大学大学院社会学研究科に進まれ、現在に至ります。 数学嫌いだった学生時代、興味の移り変わり、数理社会学の魅力、そして進路に悩む高校生へのメッセージなどを伺いました

――そもそも数理社会学とはなんですか?

ひとことで言うと、数学を研究の道具に使う社会学です。社会学では、現象の記述や説明に「ことば」を使うことが多いですが、数理社会学では明晰で論理構造のしっかりした数学言語を使い、社会現象を記述・説明することを目指します。

――数理社会学の面白さはなんですか?

イメージで言うとレゴブロックのような学問ですね。

――レゴブロック?!どういうことですか?

レゴブロックは、色々なパーツがあって、人のようなある程度形のできているものもあります。でも、自由に遊べるので人にせずに半魚人にしても良くて、色々と改造することができるんですよね。それをうまく組み合わせることで色んなものを作り出せます。数理社会学はまさにそれで、数理モデルというパーツを使って社会現象のメカニズムを写し取ることができるんです。レゴブロックを組み立てるみたいに、自由に作り出せるところが魅力です。遊びって面白いじゃないですか。その遊びが社会の理解につながる感じですね。

――面白そうです!ですが、学生時代は数学が嫌いだったとお聞きしました。そこから、どのようにして数理社会学を研究するに至ったのでしょうか……?

「数学嫌いだった学生時代」

――高校時代は何に興味がありましたか?

部活には所属していなくて帰宅部でした。科目でいうと、世界史が好きでした。特に先生の雑談が面白かったですね。また、当時も今もなんですけど、心理学的なものが流行っていて、ある種の心理テストというか心理占いや性格判定みたいなことをして、人の性格を分類するという趣旨のテレビ番組を見ていました。それで人の心というのに少し興味を持ちました。ただそれも非常に漠然としたもので、絶対にここという風に決めていたわけではないですね。

――テレビ番組が学部選びのきっかけになったんですね!横浜市立大学への進学の決め手はなんですか?

高校の時点で文系に進むと決めました。数学をあまり勉強しなくても受けられる大学を進学先に決めました。そして文系学部の中では心理学的なものに一番関心があったので、最終的に心理学を選びました。

――なるほど。最初は数学も避けていた上に、社会学じゃなくて心理学だったんですね!

大学の学部には心理学、社会学、文化人類学、教育学の4つの専攻があって、そこから心理学を選びました。当時はあまり社会学に興味を持っていなかったです。そして数学嫌いといっても心理学に使うので、データ分析には最低限ですが触れていました。ただ当時はサメーション(総和記号)を見るのも嫌いで、苦手意識は持ったままだったので、数学でご飯を食べていくことになるとは全く考えていなかったです(笑)

――数学と接点を持ったのはここからなんですね!心理学の中では、どのようなテーマを研究されていたんですか?

コミュニケーションに関心があって、コミュニケーション論を勉強していました。卒論では、非言語コミュニケーション(言葉以外の顔の表情が相手に与える印象など)を考察することに取り組んだりだとか、いわゆる社会心理学で取り上げられるテーマを扱っていました。

――どうして関西学院大学院へ進学したんですか?

大学院も最初は、心理学的なコミュニケーション論を引き続きやろうと思っていました。実家が京都だったので、京都から通えるところを探しました。当時通っていた大学の先生に相談したら、関学の社会学部の藤原武弘先生を紹介してもらったので関学の大学院へ進学しました。

――大学院での研究テーマを教えてください。

最初は社会心理学をやろうとしましたが、自分のやりたいこととは違うと感じるようになったので専攻を変えて、社会学の研究をいろいろしました。同じコミュニケーションでも社会学的な視点でやりたいと考え、修士論文ではアーヴィング・ゴッフマンの相互行為論(演技的なコミュニケーションについての研究)を日本の状況に落とし込んだときにどのようなことが言えるかという理論を執筆しました。

「数理社会学との”偶然の出会い”」

――大学時代に心理学的な視点で研究されていたテーマを、大学院では社会学的な視点から研究されたんですね!

数理社会学に興味を持ったのは後期課程からです。当時の指導教員が数理社会学の髙坂健次先生だったことがきっかけでした。自分には無関係だと思っていましたが、見様見真似で始めると数学と言ってもそんなに難しい数学は使いませんし、自分でパズルとかレゴブロックを組み立てるみたいに自分でモデルを作っていく創造性みたいなのがすごく面白く感じましたね。誰かの理論をごねごね言うだけじゃなくて、自分の頭で考えられる、自分で動かせるので自分でもやってみようとやり始めました。 

数理社会学の研究としては、階層帰属意識(自分は社会のどの階層に属しているのかという人々の意識)についての研究などをしていました。色々なテーマを扱えるという点が数理社会学の良いところだと考えています。

――ここまで、先生の興味の移り変わりや数理社会学との出会い、その面白さなどについて伺ってきました。今までの興味の探求で何を得られたと感じますか?

三つあります。

まずは、ポスト(就職先)です。就職できました(笑)

次に、自分自身が面白いと思えるもの(数理社会学)に出会えたことです。大学院時代には、理学部の一年生に交じって、線形代数とかの授業をもぐりで受けてました。それがすごい勉強になったの。全然知らないことだからなんでも面白くて。何でも分かった!完全に理解した!っていう感覚がいっぱい味わえるんです。だからまだ数学とか統計をちゃんと勉強していない人はうらやましい(笑)

最後は広い視野です。社会学だけではなくもう少し広い視野で、他の学問分野を見ることができます。数学が共通言語になって、どういうことをやってるか大体わかります。数学を使って、社会学というひとつの科学をすることが数理社会学やデータ分析のポイントであり、高校時代にはよくわからなかった数学の使い道が、ようやくわかったような気がしますね。

――興味が仕事につながるって素敵ですね。また、嫌いだった数学に夢中になったというのはすごい!そして、数学にそんな使い道があるなんて、面白そうだと思いました!

――石田先生のゼミではどのように興味を探求できますか?

「自分の興味関心を追求して、自分の頭で考えて、自分の理屈を作り出す面白さを体験してもらいたい」

 私のゼミでは数理社会学ゼミという看板を掲げています。関学の社会学部は日本一の大きさと多様性を持っていると考えています。その中で、数理社会学という分野が学べるというのは重要なことだと思っています。

 ゼミでは、データ分析における技法を一通り学んで、簡単な数理モデルを作ることを体験してもらいます。それをやったうえで、あとは自分で考えて好きにやりなさいっていうのがうちのゼミの方針です。それは必ずしも数学である必要はなくて、言葉による理論研究やデータ分析などでも良いんです。自分でやっていくというのが大切にしている考え方です。そこまで高度でなくてよいので、とにかく自分の頭で考えて動いて、モデルを作り出すっていうところが勉強になるのではないかと思っています。そこが学問をやる上で、一番の面白さであるとも考えています。

――自分で作り出せるって可能性が無限大ですね☆

――高校生に対するメッセージをお願いします。

 「”思てたんとちゃう学び”をしてほしい」

社会学部は教養学部っぽいんですよね。基本的になんでも勉強できて、色んなアプローチで学べるのがすごく良いところなんです。

高校生に伝えたいのは、大学の中で学問や、学問以外の様々な予期しない出会いをしてほしいということです。今の高校の段階や、大学に入りたての段階で、”こういう勉強がしたい”って思っているのとは全然違う学びが最終的にできれば一番良いと思います。

なぜなら、自分が思っているような勉強をしていても、自分の期待の範囲から全然出ないんですよね。むしろ期待よりも少ない範囲しか勉強できなくなってしまう。そうじゃなくて、全然思ってもなかったことに出会って勉強をするっていうのが、大学の一番いいところだと思うし、社会学部ではそういうようなことができる場所なのでぜひ。

そうするためにはどんなことも嫌がらずに、耳慣れないけどなんか面白そうとか、あるいは時間が空いてるから取ってみようみたいな動機でもいいので、そういうことをして色んな可能性を広げていってほしいですね。だから、自分で期待とか予期しすぎないほうが良いのかな。

――期待しないというのは意外です!興味への探求は、ふとした出会いから始まるかもしれないんですね。石田先生、本日は貴重なお話をたくさんしていただき、ありがとうございました!

インタビューの感想

予期しない新たな興味に出会うために、空き時間は学内のイベント、サークルや他学部の聴講に行ってみようと思います!(現代社会学専攻2回生)
研究室でインタビューを行ったのですが、壁一面の本棚にはデータ関連の本だけでなく歴史や経済学関連の本もあって先生の幅広い興味や熱意を感じました…!(フィールド文化学専攻3回生)
ゼミを見学させてもらったところ、授業形式が生徒一人一人が自分で考えてきたものを発表する形だったので、「自分の頭で考える」というゼミテーマがよく体現されていると感じました!(データ社会学専攻2回生)
高校生へのメッセージは大学生の私たちにも刺さりました!石田先生はユーモアたっぷりな例え話を交えながら、質問に答えてくださいました。読者のみなさんにも数理社会学や社会学部の魅力が伝わったのではないでしょうか??(社会心理学専攻3回生)

 

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